Continues As Hope

Continues As Hope

Continues As Hope (2022)

ミクストメディア

 

旧観慶丸商店ショーウィンドウ

私の不安はどこからきているのだろうか。幸せであればあるほど不安になっていくのはなぜか。
そんな気持ちを漠然と抱えて生活している何気ない日常で、キッチンの窓際に寄せられた、
割れてしまったグラスを見てふとアイディアが浮かびました。
壊れて、消えて、失われていく恐怖は、大切なものを抱えていく中で切り離すことはできません。
それでも、大切なものを、人を、記憶や思いを、それらの恐怖もろとも抱えながら続けていくことを決心する。
その意志を、壊れてしまったものたちを金で継ぎながら、個人的な記憶と共に巡る作品となりました。

*参考:「Continues As Hope」トーク 土井波音×ちばふみ枝 | https://kankeimaru.jp/event/1260


石巻市指定文化財である旧観慶丸商店が主催し、石巻市の助成のもと個展 「Continues As Hope」を実施した。1930 年に建築されてから 90 年以上の歴史の
中で、劣化や被災の影響をその身体に刻みながら、修繕や補強を繰り返して現在 まで維持されてきた旧観慶丸商店の建物と、”有限性という自然の摂理 ” に対して 抵抗する自身の思想を重ね合わせ、伝統工芸である金継ぎの技術から着想した作 品を建物内のショーウィンドウにて構築した。
金色の線は”有限への抵抗” という意志を持ち、中央の割れたグラスを起点として、 被災でヘドロに塗れた家族写真や着古した衣服、ロンドンでの生活を記録したビ デオ、そして亡き愛犬を描いた絵画など作家自身の記憶が写し出された4面の壁 に伸びていく。
「Continues As Hope」のタイトルが示すように、有限である事物を自然の摂理と してそのまま受け入れようとすることだけでなく、抵抗を続けていくこともまた 希望として認められるように願いを込めて制作された。

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